空き家を放置する5つのリスク|固定資産税6倍・特定空き家・売りにくさを解説

使う予定のない実家を、とりあえずそのままにしていませんか。「いつか片づけよう」「まだ慌てなくていい」——そう思っているうちに、月日だけが過ぎていく。そんなケースは決して珍しくありません。

ところが空き家の放置には、お金・法律・資産価値という3つの方向から、じわじわとリスクが忍び寄ります。固定資産税が一気に跳ね上がったり、行政の指導対象になったり、いざ売ろうとしたときに買い手がつかなかったり——。知らないまま時間が過ぎると、選べたはずの選択肢が一つ、また一つと減っていくのです。

とはいえ、これらのリスクには対処法があります。この記事では、空き家を放置するとどんなことが起こるのかを5つに整理したうえで、リスクを断ち切るための具体的な選択肢までご案内します。

空き家を放置する5つのリスク

① 固定資産税が最大6倍になる

意外と知られていないのが、税金のリスクです。

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が大きく軽減されています。具体的には、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)について、課税標準額が評価額の6分の1まで下がるしくみ(総務省)。普段それほど固定資産税を重く感じないのは、この軽減があるおかげと言えます。

問題は、空き家を放置した結果、行政から「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、勧告を受けたとき。勧告を受けると、この住宅用地の特例が解除されてしまいます。軽減がなくなれば土地の固定資産税は本来の評価額をもとに計算されるため、結果として最大でおよそ6倍に膨らむ可能性があるのです。「建物を残しておけば税金は安いまま」と思って放置していたはずが、かえって重くなる——そんな逆転も起こり得ます。

※税額が上がるしくみの詳細は、別記事「空き家の固定資産税」でくわしく解説しています。

② 特定空き家・管理不全空き家に指定される

①で触れた「指定」について、もう少し見ておきましょう。

空き家対策の枠組みは、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法) で定められています。もともとは、倒壊の危険があるなど著しく問題のある建物を「特定空き家」として、行政が指導・勧告・命令・代執行といった措置を取れる制度でした。

ここで押さえておきたいのが、2023年12月13日に施行された改正です。この改正により、特定空き家になる前段階の「管理不全空き家」という区分が新設されました(国土交通省)。これによって、まだ深刻な状態ではなくても、放置すれば特定空き家になりそうな空き家に対し、市区町村が早い段階で指導・勧告を行えるようになっています。つまり、行政が動き出すハードルが下がったということ。「うちはまだ大丈夫」と油断はできません。

③ 建物の老朽化で資産価値が下がる

人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷みます。換気されずに湿気がこもり、設備は使われないまま劣化していく。雨漏りやシロアリに気づかず放置すれば、傷みは一気に進んでしまいます。

建物の状態が悪くなるほど、不動産としての価値は下がっていくもの。本来なら「中古住宅」として売れたかもしれない物件が、傷みすぎて「古家付き土地」や「解体前提」でしか売れなくなる、というのはよくある話です。資産価値の目減りは、そのまま将来手にできる売却代金の減少につながります。

④ 倒壊・放火・不法投棄など、近隣トラブルや損害賠償のリスク

放置された空き家は、近隣にとっても不安の種になります。

老朽化した建物の一部が崩れたり、塀や瓦が落ちたり。敷地が荒れれば、不法投棄やゴミの放置、放火といった犯罪を呼び込みかねません。草木が伸び放題になって隣家に越境する、といった身近なトラブルも起こりがちです。

とりわけ注意したいのが、万一の事故。建物の倒壊や落下物で他人にケガをさせたり、隣家を傷つけたりした場合には、所有者として損害賠償を求められる可能性があります。「ただ持っているだけ」のつもりでも、管理責任からは逃れられない——この点は意識しておきたいところです。

⑤ 時間が経つほど、売却・活用が難しくなる

ここまでのリスクは、いずれも「時間」とともに重くなっていきます。

建物は傷み、税負担は増し、相続人がさらに高齢化したり代替わりしたりして、権利関係も複雑になっていく。とくに相続人が増えると、売却に必要な全員の同意を得ることが年々難しくなります。「あのとき動いておけば、もっと良い条件で売れたのに」と後から悔やむケースは、本当に多いのです。

空き家は、放っておいて状況が良くなることはまずない資産。早く向き合うほど、選べる道は多く残されています。

放置リスクを避ける3つの選択肢

では、これらのリスクを避けるにはどうすればよいのでしょうか。大きく分けて、選択肢は3つあります。

1. 売る ── 最もシンプルに、空き家にまつわるリスクをまとめて断ち切れる方法です。固定資産税の負担も、老朽化や損害賠償の不安も、所有しているからこそ生じるもの。手放してしまえば、その多くが解消します。相続した不動産であれば、一定の条件を満たすことで売却益にかかる税負担を抑えられる特例もあります(→詳しくは「相続した不動産の売却」へ)。

2. 活用する ── 立地や状態によっては、賃貸に出す、リフォームして貸す、といった活用も選択肢になります。家賃収入が見込める一方で、修繕費や管理の手間、空室リスクも伴うため、収支の見極めが欠かせません。

3. 管理する ── すぐに手放す決断ができない場合は、適切に管理して指定を避けるという方法もあります。定期的な換気・清掃・庭の手入れを自分で行うか、空き家管理サービスを利用するか。ただし、管理を続けても費用と手間はかかり続け、根本的なリスクが消えるわけではない点には留意が必要です。

3つのうち、リスクを最も確実に断ち切れるのは「売る」という選択でしょう。「活用」や「管理」が向くケースもありますが、使う予定がなく維持の負担だけが続くのであれば、早めの売却を検討する価値は十分にあります。

まとめ

空き家の放置には、固定資産税の増加・行政による指定・資産価値の低下・近隣トラブルや損害賠償の可能性・時間とともに売りにくくなることという5つのリスクがあります。いずれも、放っておくほど重くなるのが共通点です。

裏を返せば、早く動くほどリスクは小さく、選択肢は多く保てるということ。「うちの空き家はどうするのがいいのか」と少しでも気になったら、まずは現状を整理することから始めてみませんか。売却・活用・管理のどれが向いているかの見極めから、売る場合の進め方まで、当社が状況に合わせてご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。


※本記事は一般的な制度の概要を解説したものです。法令や税制は改正される可能性があり、固定資産税など地方税の取り扱いは自治体によって異なる場合があります。個別の判断にあたっては、お住まいの自治体や専門家にご確認ください。

監修:宅地建物取引士 ○○○○